『…リオさん。わたしは幸せなんです』


「え?」


『馬にされた時の記憶は曖昧なんですけど…それでも、アスティ様とエルさんに助けて頂いて、リオさんとお話が出来て。幸せなんですよ』


「クリス……」


クリスは健気で、それでいて強い。だから余計に、あたしが助けてあげたいと思う。


「待っててね。あたしが全て決着を着けて、クリスを元の姿に戻すから。…そしたら、一緒に遊ぼうね」


『……っ、はい!』


クリスに笑いかけてから振り返ると、エルとアスティも笑っていた。


「さっぱり分かんねぇな」


「ね。クリス、何だって?」


「…2人に出会えて、幸せだって言ってるよ」


そう伝えると、エルもアスティも目を丸くして、すぐに嬉しそうにクリスを見た。


「クリス。オレたちもリオと一緒に、クリスを救うからね」


「馬の姿もあとちょっとだ。楽しんどけよ」


『……ありがとうございます!』


クリスの声は、2人には馬の嘶きにしか聞こえなかったかもしれない。それでもきっと、伝わっているはず。



「それじゃ、行ってきます!」



あたしたちは笑顔で、束の間の休息を取りに足を踏み出した。