「昨日だって、すぐダルクと会ったからあんま店見れてなかったろ」


「う、うん…そういえば」


「祭りだって騒いでたじゃねぇか」


エルの琥珀色の瞳から、ぶっきらぼうな言葉の裏にある優しさが伝わってくる。


…ようするに、あたしが楽しみにしてたお祭りを、昨日ゆっくり見れなかったから。今日見ようってことでしょ?


「……分かりづらいなぁ」


「あん?」


思わずふふっと笑うと、エルに睨まれた。


アスティもエルの言いたいことが分かったのか、口元が笑っている。


「じゃあ、エルが行きたいっていうお祭り回ろうか」


「おいアスティ、俺じゃ…」


「賛成!エルがそーんなに楽しみにしてたんだもんねー?」


「………どうやら荷物持ちをしたいらしいな」


『ふふふっ。皆さん行ってらっしゃい』


楽しそうなクリスの声に、あたしは少し複雑な気持ちになりながら近付いた。


「…クリス、連れてってあげられなくてごめんね」


綺麗な鬣を撫でると、クリスは嬉しそうに目を閉じる。