ふと、アスティの視線があたしに向いた。
優しく瞳を細めると、その口元が僅かに動く。
「ーーーー…!」
「それじゃ、またあとでね」
ひらひらと手を振って、アスティは足早に行ってしまった。
取り残されたあたしとエルの間には、何とも言えない、微妙な空気が流れる。
ーーーーー『頑張ってね、リオ』
今さっき、確かにアスティの口は、声を出さずにそう言っていた。
頑張ってね、って…エルとのことだよね?
ちらりと視線を向けると、深いため息をつくエルが目に入る。
「はーーー…。しょうがねぇ、行くぞ」
壁から背を離し、気だるそうに馬小屋の出口へ向かった。
その後ろ姿をぼーっと見ていると、不意に別のところから声がかかる。
『…リオさん』
「……え?クリス?」
『わたしも、応援しています』
何故かクリスにまで、あたしの気持ちは筒抜けだったらしい。
あたしは苦笑して頷くと、エルの背中に向かって歩き出した。


