「ありがとう。…で、現実の話なんだけど」


再び口を開くと、オレはオーガに視線を向けた。


オーガは頭を掻きながら、難しそうな表情を浮かべた。


「空から人、ねぇ…」


「おや、新しいお客さん。ご注文は?」


「いや、俺はいい。それよりあんたも知らねーか?」


オーガに話を振られ、店主は綺麗に整った眉をひそめた。


「何の話だい?」


「空から人が降ってきたって話を、聞いたことがあるかってさ」


オーガの言葉に店主は眉を寄せたまま、オレを見た。


「そんな話、本当にあるのかい?」


「うん…ちょっとね」


オレは苦笑すると、イチゴミルクを一口飲んだ。


そんなにすぐ、情報が手に入るとは思ってなかったけど。


けど…思ったより難しそうだよ、リオ。


君が、元の世界に帰れる方法を見つけることは。


「何にせよ、そんな不思議な話、専門家にでも訊かなきゃ分からないよ」


店主はため息と共にそう言った。