結構な客で賑わっている店内は、酒場の雰囲気を思わせた。


「よお兄ちゃん、一人か?」


額に傷跡がある男が、オレの隣の椅子に腰掛けた。


不審に思い眉をひそめると、男は苦笑した。


「そんな警戒すんなって。俺はオーガ。ただの旅人さ」


「…アスティ」


「かっけー名前じゃん!」


ケラケラと笑うオーガに、自然と警戒心が薄れていく。


「ちょっと、訊きたいんだけど」


「俺に?この街のことならよく分かんねーぞ?」


「空から人が降ってきたって話、聞いたことある?」


「…はあ?」


オレの質問に、オーガは口をポカンと開けた。


あ、違うな。

降ってきたって言うか、落ちてきた?


「空から人が落ちてきたって話…」


「それ意味一緒だろ。何だそれ。神話?」


「ううん、作り話じゃなくて…」


「はい!イチゴミルクお待ちっ!」


ドン、とカウンターに飲み物を出され、オレは言葉を区切った。