エルの手は、もう離れていて。
けど、そんなことはどうでもよくて。
胸を支配する、この嫌じゃない苦しみを…何て呼べばいいのか、分からない。
けど、これに名前をつけるとしたら、きっと。
―――――――恋。
「………っ!」
意識した瞬間、顔に熱が集中する。
あたし、エルが好きなの―――…?
「…あん?俺に訊くなよ」
「………へ?」
信じられない言葉が聞こえ、一気に頭が切り替わる。
甘い熱は消え、代わりに競り上がってくるのは…まさか、という気持ちだけ。
「……エル。つかぬことをお伺いしますが、あたしは今…」
「お前が俺を好きかって?俺に訊くな」
何ともサラッと返され、あたしの顔は面白いくらいに赤から青に変わったと思う。
よりによって大事な言葉を、無意識に声に出していたあたし。本人の目の前で。
―――――あたしの、ド阿呆…


