「迷惑かけたと思ってんなら、潔く寝てろ」
「ちょっ、~エル!」
スタスタと目的地に向かって歩くエルを、あたしは追いかける。
洞窟の壁を触り、崩れてこないことを確認したのか、エルはあたしに向き直った。
「お前はマントあるだろ。それ敷いて寝とけ」
「エル、あたし本当に…」
そこまで言いかけた口は、エルの手によって邪魔された。
「ぬあっ!?や、やめひぇよっ!」
…またこれかっ!
あたしの口を潰すエルの手を、必死にどかそうともがく。
目の前で、エルがフッと笑ったのが見えた。
「…黙って守られとけっつーの。アホ」
――――…反則、だ。
全身に、一気に熱がまわる。それも、甘い甘い熱が。
心臓はもう、壊れそうなくらいバクバクと高鳴っている。


