ゆっくり近づいていくと、盛り上がって山のようになった斜面が削れ、小さな空洞ができていた。
確かに、寝るだけなら不自由ない広さだけど…外から丸見えな気がする。
「ねぇ、エル」
「あん?」
「こんなところで寝てたら、食べてくださいって言ってるようなものなんじゃ…?」
ちらりと見上げると、エルは「ああ何だそんなことか」とでも言いそうな涼しい顔で、
「―――俺が見張っててやるから、お前は寝てろ」
そう、言った。
「……え?…えええ!?」
「何だようるせぇな」
「だ、だって!悪いよそんな!」
エルのまさかの発言に、あたしは慌てて食い下がる。
「もとはと言えば、あたし一人で生き延びるはずだったのに、エル巻き込んで…!あたしだけ呑気に寝るなんて、できないよ!」
正論を述べたはずなのに、エルはうるさい小バエを見るような瞳で、あたしを見る。


