エルのことが、好き―――…?
「おい、何だって?」
硬直したあたしを見て、エルが問いかけてくる。
あたしは紙を折り畳むと、自分のポケットにしまった。
「うん!ケガしてない?って!やっぱりアスティは優しいねっ!」
不自然なくらいの笑顔で、エルに向かって言う。
「よし、エルの言う通り、あとはアスティたちに任せて…それまでに生き延びないとね!」
ガッツポーズしてみせると、痛い視線が突き刺さる。
…あまり、見ないで欲しい。どうしたらいいのか、分からないから。
「……行くぞ。完全に暗くなる前に、寝床探さねえと」
「う、うん」
エルがあたしに背を向けたことに、ホッとする。
正直、今は何を言っても不自然になる気がした。
―――『エルのこと…好きなんだよね?』
アスティの言葉が、まるで耳元で言われたかのようにこびりついて…離れない。


