―――……‥
リオが森の奥へと消えるのを見届けると、長老が踵を返す。
「……村へ戻ろう」
数人の村人が返事をし、躊躇いもなく森に背を向けていく。
その行動に顔をしかめると、エルがオレの肩を叩いた。
「…俺たちも、戻ろうぜ」
そう言いながら、鋭く光る琥珀色の瞳は、長老たちへと向けられている。
エルも同じ気持ちなんだと思い、オレは微笑んでから頷いた。
村へ戻ると、相変わらず雰囲気は暗かった。
誰もいないことを確認してから、リエラの家に入る。
「…ああ!お帰りなさい!」
扉を開けてすぐ、リエラが血相を変えて駆け寄ってきた。
「リオは、リオは…」
「安心して。バレずに森へ入ったよ」
そう言っても、リエラは安心するどころか、悲しげに瞳を揺らした。


