他の人にバレないように、べえっと舌を突き出してから、すぐに男の人の後を追った。
トイレの中に入るとすぐに、あたしとリエラの服を交換する。
カーテンで作ったマントで身を包み、あたしはフードを被る。
「……どう?」
「大丈夫よ。フードで顔はよく分からないし、話したりしなければバレないわ」
ヒソヒソと会話を交わしつつ、トイレの出入り口に視線を移す。
あとは、あの男の人を騙せれば、入れ替え作戦はほぼ成功したと言える。
「リエラ。…あとは、あたしたちに任せて」
そう言うと、リエラは申し訳なさそうに微笑んだ。
「ありがとう。あたしは最後の仕事をするわね」
「うん。じゃあ、行くね」
トイレから出ると、男の人が気付いて声を掛けてきた。
「リエラ、友達とかいう子はどうした?」
「お腹が痛くなったらしいの…追い付くから、先に行っててって」
「ああ、そうか。じゃあ行こう」
リエラが出入り口のギリギリの所から話し、あたしはそれに合わせて口パクをする。
男の人は特に不審に思わなかったのか、くるりと背を向けて歩き出した。


