俺は髪をぐしゃぐしゃに握ると、恥ずかしさから早口で話し始める。


「これは、その、あれだ。いきなり責めて悪かったっつーか…いや、お前が悪いんだけど、気付かなかった俺も悪いし」


「………」


「挙げ句に、ダルクの野郎がふざけたこと……って、何笑ってんだ!」


信じられないことに、ちびっこは肩を震わせ、笑いを堪えていた。


さっきまで泣いてたくせに、何だこの変わりようは!


「だ、だって…!必死なエルが、面白くって」


「あん!?お前ふざけんなよ」


何を言っても逆効果なようで、ちびっこはケラケラと笑っていた。


その表情にホッとする俺は、どうかしてる。


「…ねぇ、エル」


ちびっこは、僅かに真剣味を帯びた瞳で俺を見上げた。


何か言うわけでもなく、黙ってその瞳を見つめ返す。


「前に、手錠で繋がれた時…エル、あたしに言ったよね?」


「…何を」


「無事にここを逃げ出せたら、何でも教えてくれるって」


サアッと、吹き抜ける風が髪をさらう。