「本当に人質体質だなお前は。ホイホイとかっさらわれていきやがって」


「だっ…、仕方ないじゃんっ」


「知らないやつをアッサリ部屋に招き入れるのが、仕方ねぇのかよ」


―――ああ、最悪だ。


コイツが拐われなきゃ、ダルクたちに会わなかったし、こんな複雑な思いをすることなかったなんて…完全に八つ当たりだ。



ちびっこが何も言わない内に、縄がほどけて落ちる。


「……だって…」


消え入るくらいの小さな声に、俺は眉を寄せたまま視線をちびっこに向けた。


「…だって、エルが来たのかと思ったんだもん」


瞬間、心臓がドクンと脈を打った。


「―――な…!何泣いてんだよ!」


「泣いてないっ!」


「嘘つけ!」


ちびっこの丸い瞳から、涙が零れ落ちる。


顔を真っ赤にさせながら、「泣いてないもん!」なんて戯れ言を言っている。


「―――悪かった」


自然と零れた言葉に、ちびっこが目を見開いた。


一番驚いたのは、俺自身だったけど。