―――というわけで、今に至るわけでして。
「もー無理ぃー!」
「口を動かすな足を動かせ」
あたしにこんなことを押し付けた張本人はというと、悠長に荷台に乗っていた。
「エル、リオだって頑張ってるんだから」
「アスティ…」
アスティは荷台に乗るなんてことはせず、あたしの隣を歩いてくれている。
でも。
「…手伝っては…くれないんだね」
「?何を?」
エルとは違った意味で、アスティもひどい気がする。
あたしが引っ張るより、二人が引いた方が絶対早いのに…。
唇を尖らせながらも、何とか荷台を引いていると、不意にアスティが呟いた。
「…でもさぁ、」
「ん?」
「不思議だよね。何でリオが選ばれたのかな」
紫色の探るような瞳を向けられ、あたしは苦笑した。
「選ばれたんじゃないよ。猫が落としたの拾っただけだもん」
迷惑な話だけど、本当にそれだけ。


