イーズくんが…お医者さん。
想像したら、何か笑ってしまった。でも、人拐いより良いに決まってる。
「お礼…言いたかったな」
「きっと、喜んだと思うよ」
穏やかな笑いを繰り返しながら、生きていて良かったと、心からそう思った。
ティアラは…あたしより若いのに、生け贄となったんだ。
それなのにあたしの前に現れて、助言をしてくれたんだから…何がなんでも、あたしはこの世界を救わなくちゃ。
「次って、どこに向かってるの?」
そう問い掛けると、エルが腕を組んだまま答えた。
「このまま進むと、サイリアだな」
「サイリア…」
あれ?何か聞いたことあるような。
―――"君はさ、サイリアって国を知ってる?"
「あ…あああ!」
「んだよ、うるっせぇな」
「サイリアって、イーズくんとケルンさんの生まれ育った国だよね!?」
脳裏に甦ったイーズくんのセリフで、思い出した。
確か、酷い干ばつに遭ってるとか言ってた気がする。
「うん。そうだよ」
「そっか…」
アスティの肯定の言葉に、あたしはそう呟いた。


