首謀者、首謀者かぁ…。一体誰なんだろう。
悶々と考えていると、突然オデコを叩かれた。
「痛っ!」
「考えても答は出ねぇだろ。いいじゃんか、生け贄にならずに済む方法があったんだからよ」
けろっとそう言ったエルに、もう反論する気さえ失せた。
でも確かに、その事実は大きな一歩だもんね。
「取り敢えず今は、リオが完治するのが先だよ」
ね?と微笑むアスティに、胸がじんと温かくなる。
…あれ?っていうか、そういえば。
「イーズくんとケルンさんは!?」
「…今更かよ」
エルの最もな突っ込みは無視して、あたしはアスティを見る。
栗色の髪を揺らして笑いながら、アスティが答えた。
「リオのケガは、イーズが治療してくれたんだよ。二人にはちゃんとお礼を言って、二日前に出発したんだ」
「そうだったんだ…」
「人拐いは辞めて、医者の道に進もうかなって言ってたよ」
可笑しそうにそう言うアスティから、自分の腹部へと視線を移す。


