何とか乱暴な手から逃れると、あたしはヒリヒリと痛む頬を押さえながらエルを睨む。
「引っ張んなくたっていいでしょ!」
「あん?お前がまた一人で騒ぐのがいけねぇんだろ」
「またって…」
ああ、クリスが喋れるって分かったときのことね。じゃなくて!
「ストップ」
反論しようと口を開きかけたあたしを、アスティが片手で止めた。
「リオ、熱くなると体に響くよ。…とりあえず、ティアラって誰か教えてくれる?」
アスティの優しい言い方に、あたしは恥ずかしくなって俯いた。
そうだ。ティアラから聞いた重要なことを、あたしは伝えなきゃいけないのに―――。
「…二人とも、ごめん。あのね…」
あたしはすぐに顔を上げると、さっきまで起こっていたことを説明した。
話終えると、エルが深いため息をつく。
「首謀者、ねぇ…」
どこか遠くを見つめる瞳を、あたしは寝そべったまま見ていた。
「…うん。肝心なところで、目が覚めちゃって」
本当に、ひどいタイミングで目が覚めた。
その首謀者が分からなきゃ、あたしは生け贄になるって道しか選べなくなるのに。
「多分、その首謀者が邪魔したんだろうね。名前を知られたくないだろうし」
うーんと唸りながら、アスティがそう言う。


