「ここはね、一つの異空間よ」
「異空間…?」
「そう。私の力で造り出した空間。長くはもたないわ」
…ってことは。あたし、死んだわけじゃないの?
ホッと肩を撫で下ろすと、ティアラが苦笑した。
「ごめんね。こんなタイミングで。本当は、もっと前から呼び掛けてたんだけど…邪魔されてて」
「呼び掛けって…あたしに?」
「当たり前でしょ?この世界を救える、唯一の人間なんだから」
その言葉に、思わず身体が固くなった。
今回のゴタゴタで…その事実を考えないように、頭がシャットアウトしていたみたい。
「そ、れで…あたしに、何の用なの?」
何とか毅然な態度を装ってそう訊くと、ティアラがくすりと笑う。
「強がらないで。世界を担うその重みを、私も嫌ってほど経験したから」
「…え?」
僅かな光に照らされた、ティアラの表情。
憐れむような、悲しむような、胸がギュッと苦しくなる表情だった。
「経験、した…?」
ってことは、まさか。
「―――私が、五十年前の生け贄よ」
あたしと、同じ―――…


