自分が誰かの為にできることは、ほんの僅かしかないかもしれない。


だから、難しい。


それでも、人を救いたいという気持ちは大切なんだと、俺でさえ思う。


「……間違ってない」


自分自身に言い聞かせるように、そう呟く。


俺が、俺たちがしてきたことは、人助けなんだ。


…なのに、何で―――…


「あ!アスティさん!」


イーズの声に我に返り、その視線の先を追う。


絶壁の亀裂から出てきたアスティは、スッキリしたような、そうでないような顔をしていた。


「イーズ。…リオの調子はどう?」


「大丈夫だよ。完治するのに三週間はかかると思うけど」


イーズが次々と薬をアスティに渡し、その説明をし始めた。


…っていうか、アスティさんって何だ。


訝しげに見ていた俺に気付いたのか、アスティが首を傾げる。


「エル?」


「お前ら一体、どういう関係だ」


俺の言葉に、アスティはきょとんとしてから、すぐに笑う。


「やだなぁエル。やましい関係は無いよ」


「んなこと分かってるっつーの!アホか!」


思わず怒鳴ると、イーズが眉を寄せ、唇に人差し指を当てて「しーッ!」と言った。