その一番奥に、人影があった。
人影がゆらりと立ち上がると、声が響く。
「―――何だい、アンタら」
………え?
聞き間違い、なんかじゃないよね。
「カ、カンナ殿!私でございます!」
おじさんの嗄れ声に、人影が反応する。
「ああ。どっかのハゲオヤジか」
ケラケラと笑いながら、ゆっくりと近付いて来る影が、徐々にはっきりとしてきた。
スラリと伸びる長い手足に、腰まで靡く金髪。
キリッとつり上がった緑色の瞳を向けるのは、間違いなく女の人。
「で?何、コイツらが商品?」
腰に手をあて、女の人がじろじろとあたしたちを眺める。
あたしがムッとすると、女の人の口元が、綺麗に弧を描いた。
「どうしたお嬢ちゃん」
「……何でもないです」
本当は、何でもなくないけど。
人を商品扱いしないで!とか怒鳴りたいけど、そんなこと言ったらどうなるか分からないから。
ただでさえ、あたしは足手まといなのに…これ以上、エルの荷物にはなれない。
「へえ?そんな反抗的な目しといて、何でもない、ね」
可笑しそうに笑っているように見える。
でもあたしは、その瞳に恐怖を感じた。


