「生きるためには、もう他の道は選べなかった。…特に、僕とケルンみたいに、親がいない人間には」
「………っ」
「憐れんでいいよ。実際、この仕事が上手くいったのなんて、片手で数えきれるくらいだしね」
憐れむことなんか、できない。
でも、大丈夫だなんて無責任な言葉を、掛けてあげることもできない。
ただ募るのは、この世界を早く救わなくちゃという、使命感。
…悔しくて、唇を噛んだ。
拳をぎゅっと握ると、手錠から振動が伝わったのか、エルがちらりとあたしを見る。
「んな気張るな。お前のせいじゃねぇだろ」
「…分かってる、けどっ…」
「分かってねぇじゃん」
エルはため息をつくと、右手を持ち上げた。
その重みに連れられるように、あたしの左手も上がる。
「オイ。これ外せ」
偉そうにそう言ったエルは、イーズくんを睨むように見据えた。
イーズくんはじっと黙ってから、ゆっくりと岩から腰を上げる。
その動作は、次のエルの言葉で固まった。
「―――外したら、俺だけ売れ」
イーズくんは目を見張り、ケルンさんは弾かれたように顔を上げた。
あたしも耳を疑って、隣で飄々としているエルを見る。


