エルはため息をつくと、口を開いた。
「俺たちはまず、どっかに売られるだろーな。それが人拐いの仕事だ。けど、その取引相手に断られた。そんなとこだろ」
エルの言葉に、今度はイーズくんがため息をついた。
「…そうだよ。受け入れ先のヤツらが、僕たちのことをバカにしてるんだ」
「イーズ、」
「いいよ、ケルン。どうせまた、逃がさなきゃいけなくなるだろうし」
ケルンさん(多分年上だと思う)は、すっかり気落ちした様子のイーズくんを困ったように見た。
「イーズ…まだ、可能性はあるだろ」
「ケルン」
地面をじっと見つめながら、イーズくんは無表情に口を開く。
「そんな言葉を信じるほど、僕はまだ堕ちてないよ」
その瞳が、一瞬燃えるような眼差しになった。
子供のものとは思えないほど、憎しみが込められた瞳。
「…どうして、人拐いになったの?」
気付けば、あたしはそう訊ねていた。
三人分の視線が、一斉にあたしに注がれる。
それでも怯まず、イーズくんとケルンさんを交互に見た。
「…楽しい理由じゃないよ」
瞳を伏せながら、イーズくんが口を開く。


