後ろを振り返れば、そこで道は途切れていて、戻ることはできない。
落ちるのを恐れて、前に進むことしかできない。
…その先に待っているのが、例え絶望だとしても。
「本当に…笑っちゃう」
可笑しくもないのに、あたしは笑った。
「親切心が、仇になって。知らない世界に連れてこられて。その世界のために、犠牲にならなきゃいけないなんて…不幸にも程があるよ」
アスティとチェディさんの、同情に揺れる瞳が、あたしを見ていた。
何て言ったらいいのか分からないのか、唇をきゅっと結んでいる。
「あたしはね、エル。あたしのために、二人にまで危険な道を歩いて欲しくないの」
未だに燃えるような瞳を向けるエルに、あたしは挑むように言う。
「もしかしたら、あたしが生け贄にならずに済む方法があるかもしれない。でもそれは、あたしが自分で探す」
二人にはもう、数え切れない程の迷惑をかけた。
同じ道を歩みたかった。でもそれは、望んではいけないこと。
だから…
「―――お前は、俺たちに出会ったことも、不幸だって言うのか」
言葉が、詰まった。
エルの瞳に吸い込まれる気がして、あたしの身体は固まる。
エルとアスティに出会ったのが、不幸―――…?


