虚ろな目を上げると、あたしをしっかりと見据えるエルと視線がぶつかる。
その琥珀色の瞳は、余計なものは何一つ、映していないように真っ直ぐだった。
「諦めんのか?お前は」
…その言葉は、聞き覚えがあった。
あたしが初めてこの世界に来て、巨大トカゲに襲われて…もうダメだと思った瞬間、言われた言葉。
でもね、エル。
あのときとは、状況は同じじゃないの。
「諦めるとか、諦めないとか…関係ないよ。…あたしが生け贄にならなきゃ、この世界は救えないんだから」
無理やりに、笑ってみせる。
小人の長老が、異世界から来た記録はあっても、帰った記録はないという理由が、やっと分かった。
…ただ単純に、帰れなかっただけ。
この世界を救う為に、自らが犠牲になったから。
「…ごめんね。エル、アスティ」
何とも言えない表情を浮かべる二人を、交互に見た。
「あたしのわがままに、付き合ってもらっちゃって…。でも、もう大丈夫」
「…リオ?」
「あたし、一人でシェルビッツを目指すよ。呼ばれた理由は分かったから、あたしを呼んだ人を探すだけだし」
もしかしたら、その相手もあたしを探してるかもしれない。
この世界を救うためには、絶対に必要な生け贄なんだから。
…それならそれで、都合がいい。


