「…お前も、ゆっくりと自分の道を見つけなさい」


「………っ、」


「…お前に王位を譲るのは、まだ先になりそうだからな」


優しく微笑む父さんに、涙を見せまいと、デューイは唇を噛みしめていた。


やがて、そっと唇を開く。


「…僕は…父さんの後を継ぐに相応しい、王子という道を歩みます」


揺らぐことのない瞳を見て、オレは微笑む。


きっとデューイなら、大丈夫だ。


父さんも安心したように頷くと、視線をエルとリオに向けた。


「…エルくん、それから…お嬢さん」


「り、莉緒と申しますっ!」


緊張からか、声が裏返ったリオに、父さんが笑う。


「リオさん。…二人ともどうか、アスティを頼みます」


ベットに座り、上半身だけ起こしていた父さんは、軽く頭を下げる。


オレは目を丸くすると、視界の端で、エルが床に片膝をつくのが見えた。


「…お任せください」


力強い琥珀色の瞳が、父さんを真っ直ぐ見据えて言った。


たったそれだけの言葉に、泣きそうになる。