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『―――帰ってきて欲しいんだ。この国を、守るために』
デューイの言葉が、頭の中で繰り返される。
真剣な眼差しでオレを見つめる弟は、八年前よりずっと大人びていた。
「…デューイ」
「僕、本気だよ。どんな手を使ってでも、兄さんをここに引き止める」
見たことのない本気の表情に、思わず笑みが零れる。
そんなオレに、デューイは眉をひそめた。
「…余裕だね、兄さん。僕の言うこと、聞いてくれるの?」
「それは、無理だよ」
ハッキリと、口にする。
そう、無理だ。さっきオレ自身が、今の自分の道を突き進むと決めたから。
「…デューイ。オレなんかより、よっぽどデューイの方が賢いよ」
「…っ、そんなことない!」
珍しく声を荒げ、デューイは頭を左右に振る。
この部屋に流れる嫌な空気に、執事が眉を寄せて固まっていた。
…もちろん、この会話は、父さんに筒抜けだ。
「兄さんは…自分を謙遜しすぎてるよ」
「そんなこと、ないよ。だって実際、昔からオレは放っとかれて、デューイに期待が…」
「違う」
そう言って、デューイはまた頭を振る。


