不意に、エルが立ち上がった。
あたしはどうしたのかと視線を向けると、エルはあたしを見ずに言った。
「行くぞ、アスティ」
その言葉に、アスティは少しだけ眉を寄せる。
「行くって、どこに?」
「決まってんだろ。俺たちの旅を続けんだよ」
「…リオはどうするの?」
アスティはそう言うと、あたしを見た。
あたしは何も言えず、エルの言葉をじっと待つ。
エルは感情のないような、冷たい瞳をあたしに向けた。
「俺たちには関係ない。…自分でどうにかしろ」
…ひどく、突き放されたような気分になった。
口の中が、急に乾燥し始める。
背を向けたその姿に、あたしは慌てて口を開いた。
「待って…!」
すがるような思いで、あたしは続ける。
「あたし…あたし、どうすればいいのか分からないの!」
「だからどうした?」
エルは振り向かず、あたしに背を向けたまま冷たく言った。


