「デューイも喜んでたよ。…また、来てね」
「ん」
別れを告げて、俺は城を後にした。
―――また来てね、か。
やはりそれは、アスティが深く考えずに言った言葉。
その言葉は、少しずつ重く、俺に乗り掛かってきていた。
次の日。
俺は初めて、アスティに会いに行かなかった。
「…あ?何だテメェ…うわぁぁあ!」
咄嗟に煙幕を投げつけると、俺は古びた店から飛び出した。
…俺は今日、盗みに入っていた。
「―――ちっ」
集中力が欠けてたからか、店の店主に姿を見られた。
普段なら有り得ないミスに、舌打ちをする。
アスティに会わずに、盗賊の仕事を選んだのは、理由があった。
金が底をつきそうだという、大きな理由が。
アスティに会うようになってから、俺は宿で寝泊まりや飲み食いをしていた。
いつもより国の滞在時間が多く、金はどんどんなくなっていく。
盗んで金に換えなきゃ、生きていけなくなるんだ。


