それから毎日のように、俺達は話をした。
それは決まって、初めて言葉を交わした日のように、真夜中に。
初めて聞く王族の生活に、俺はずっと顔をしかめていたのを思い出す。
それでもアスティは、その生活が当たり前のように、俺に話した。
「…最近は、オレの世話係が適当なんだ」
一週間目の夜、いつもと同じ木に胡座をかいていた俺は、アスティの言葉に耳を傾けていた。
「適当って何だよ」
「前より、しつけが厳しくなくなったんだ。多分、父さんがそう言ったんだろうけど」
珍しくため息をついたアスティに、俺は眉を寄せる。
「何で落ち込んでんだよ。スパルタやめろって言ってくれたんだろ?良かったじゃんか」
そう言うと、アスティは悲しそうに笑った。
「オレが可哀想だとか、そういうのじゃないんだよ。…オレに期待がなくなった。そういう意味なんだ」
「期待って…」
「デューイっていう、弟がいるんだけど…父さんは、デューイを次期国王にって考えてるんだと思う」
少し雲に隠れた月を見上げながら、アスティはそう言った。
それはつまり、国王になれる素質がないってことか?
「…なるほど」
不意に呟いた俺に、アスティは視線を移す。
そして、苦笑した。


