俺をじっと見つめたまま、王子が口を開いた。
「…ごめん。オレ、そういう趣味は…」
「はあ!?」
返ってきた言葉に、思わず声を上げた。
だってコイツ…明らかに勘違いしてやがる。
「あのなぁ、俺は別にお前が好きとかそんなんじゃねぇぞ!?」
「え。…良かった。違うの?」
「違ぇよバカ!」
そう言ってから、ハッとして口をつぐんだ。
しまった。王子に向かってバカとか言ったぞ、俺。
相手によっては、俺は無礼をはたらいたとして、投獄されてもおかしくはなかった。
けどアスティは怒ることなく、寧ろその逆だった。
「ははっ!バカなんて…初めて言われた」
何故か楽しそうに笑う王子を、俺は口をポカンと開けて見ていた。
興味を持った一国の王子は、やはりバカらしい。
「……エル」
名前を呼ばれ、反射的に返事をする。
王子は瞳を細め、微笑んだ。
「オレも、エルに興味を持ったよ」
―――これが、俺とアスティの始まりだった。


