そんな俺の視線に気づいて、王子は首を傾げる。
「…どうしたの?」
「お前さ、俺のこと不審がったりはしないわけ?」
腕を組みながらそう問いかけると、王子はまた笑った。
「エルを?しないよ」
…コイツは、単にバカなのか。
そんなことを思いながらも、理由を訊いてみると、
「だって、エルはまだ子供だし」
そんな答えが返ってきて、思わず口元がひくついた。
「お前なぁ…」
「だってそうでしょ?オレにいつも何か言ったりしてくるのは、大人だけだから」
「………」
微笑んでいるはずのその表情は、どこか悲しげに見えた。
…そりゃそうか。
王子となれば、嫌でも大人に囲まれ、品定めされるんだから。
「でもエルは、何しにここに来たの?」
俺は何故か、その瞳を真っ直ぐに見返せずに、夜空へと視線を向けた。
「…別に?少しお前に興味持っただけだよ」
特に言い訳が思い浮かばず、正直にそう答えた。
すると、この空間を沈黙が支配する。
変なことを言ったか、と王子をちらりと見ると、その顔は複雑そうに歪んでいた。


