すぐ近くの曲がり角から、デューイくんが手招きをしていた。
「?デューイくん、何して…」
「いいから、こっち来てみて」
ちらりと前方を見ると、チェディさんとアスティは何かを話しながら足を進めている。
とりあえずデューイくんの用事を確かめようと、曲がり角に入った。
デューイくんはあたしを見ると、何かを決意したように、真剣な表情を見せた。
「…ここだけの話、父さんは本気で危ないんだ」
「え?」
「もしものことがあったら、次期後継者…つまり新国王は、僕になる予定だった」
いきなりの話に、あたしはついていけずに眉を寄せる。
「でも…僕には、無理なんだ。後継者は、兄様じゃなきゃダメなんだ」
「デューイくん…?」
デューイくんが、壁際の一部に触れた。
どこからかガコン、と音がしたかと思うと、あたしの身体がぐらりと傾く。
「えっ…、」
「ごめん、リオ。僕たちには、兄様が必要なんだ」
少し悲しげに歪んだ、デューイくんの顔。
「―――兄様は、渡せない」
それを最後に、あたしの身体は穴の開いた床に吸い込まれていった―――…


