突然の涙に驚きながらも、あたしはメルティの頭をそっと撫でる。


「…苦しかったんだね、ずっと」


あたしの言葉に、メルティはコクンと頷いた。


「…わたしが姫になってから、みんなの態度が変わったの」


「うん」


「…急に、壊れ物を扱うみたいになって。わたしに向かって祈ったりして、気軽に話しかけてくれる人なんかいないの」


「うん」


「…みんなわたしを、姫としか見てくれてない。姫としての力しか必要としてくれてない」


メルティはあたしの服の裾を、きゅっと握った。


「………苦しいよ」


また一粒、涙が零れた。


あたしの中に、なんとも言えない感情が込み上げてくる。


それはきっと、あたしも…



「あたしもね、メルティと同じなんだ」



部屋に響いた言葉に、メルティがあたしをじっと見上げる。


「…同じ?」


「うん。これでもあたしも、選ばれた人間なんだよね」


あはは、と苦笑すると、メルティは首を傾げた。


まさか、違う世界から来たなんて言ったら、驚くと思うけど。