「薬草のようなものじゃよ。わしの畑で採れた新鮮なものじゃ」
沸騰した鍋で、薬草がぐつぐつと煮込まれる。
ふわりとした優しい香りが、部屋の中に充満した。
「わー…いい香り」
「じゃろう?さて、もういいかの」
長老は手早くカップに流し込むと、ハーブティーのようなものが出来上がった。
それをトレイに乗せ、部屋に戻ると、
「………」
何とも重苦しい雰囲気が渦巻いていた。
ソファの上で胡座をかくエルに、ぼーっと天井を眺めるアスティ…それに向かい合う形で険しい表情を浮かべているサムエットさん。
クリスは中に入れないから、残念だけど庭にいる。
「これこれ、穏便に行こうぞ」
長老は何故か楽しそうに、あたしが持つトレイからお茶を配った。
あたしにも座るように促したあと、長老は咳払いをする。
「さて…まずは何から話せばいいかのう…。うむ、我々小人族のことから話そう」
みんながじっと見つめる中、長老はのんびりと話し始めた。
遠い遠い昔話を、子供に聞かせるように。


