楽々荘の住人十色

早苗さんとは大学の飲み会で知り合い、その日に関係を結んでしまった。
大学生の酔った勢いは、とんでもない後悔を生む。

そうして今また俺は早苗さんと逢う度、知らない扉をノックしては後悔を繰り返す。

「いらっしゃい。久しぶり」

半乾きの髪にバスローブ姿の早苗さんは部屋に入るなり、缶ビールを渡してきた。

「今までドコにいたんですか?」

両方の手の平で缶ビールの冷たさを感じながら僕は壁にもたれかかった。

ベッドとの距離はそう遠くじゃない。

「心配してくれてたんだ。それとも会いたかった?」