でも、さっきの椎名くんはなんか違った。

あの優しかった彼じゃない。

無視するなんて…


「椎名くんが好きです」


遠くのほうから可愛らしい声が聞こえてきた。

今、椎名くんって言った?
この近くにいるんだ。


声のしたほうへと近づいていく。


あっ!
椎名くんいた!



「ごめん、」

椎名くんの前にいた女の子は、泣きながら走って行ってしまった。




かわいそう…

そう思った反面、良かったと思っている自分がいる。

最低だな…

あの子、本気で椎名くんが好きだったんだと悟った。