命の花

 イグニスはふと、少年の横顔に、ある種の不穏を感じた。

 言葉に出さずゆっくりと、だが曖昧に頷いた。

「あなたが、そうだったから……ですか」

 風精の少年が気付くと、よほど心配そうなイグニスの視線があった。

 見つめる瞳は真剣で、心の奥底まで見抜かれてしまう……そんな気がして彼は身じろいだ。

「あなたは、そんな風に思って、彼をここで待ち続けたのですか」

 風精の彼は鼻であしらうように頭を反らした。