一見、浮世離れした


 眼鏡が似合わない あなた


 黒いジャージに 着られてしまうあなた


 教育実習生のあなた


 手の触れることの許されぬあなた


「君の世界に 僕はいないはず」


 なんて……ひかれたレールも はみだすくらいなのに


 あなたの そばにいたい


 それだけじゃダメですか?


 それだけではいけませんか?



 眼鏡を外したら


 黒ジャージが映えて見えた


 体育館の裏


 好きです!


 って、言えたら……と思いつつ


「いまさら、ひかれたレールなんてないんです」


 飛び込んでいけたら あの腕の中に


 とびこんでいけたら


 
 何かの拍子に転げ落ちた銀色の


 ブローチ


 あなたの手ずからポケットへ すっと入った


 見つけてしまった 私は道化者で


 愛おしいほど おかしかった


 小さいけれど 誰かのものだとわかった


 これは恋じゃない 嫉妬だ


 つまらない 独占欲だ

 
 涙で目が曇る


 そんな風にしたのは せんせい


 あなたです