雨の中歩いた道 下履きのままで
  

 後ろ姿の見えない砂利道を踏んで


 背中が冷たかった みんなみんな冷たかった


 けれど あなたからの便りが届いた


 雨と風の歌がなにかを押し流しそうで


 水滴のあとが残る世界に 大きな涙の粒を


 落とし、のみ込んだ


 冷えた温度が思考に集まって凍って


 でも暖かいね


 大事だね



 この歌は小さくて誰の目にも


 とまらなくて


 通り過ぎる毎日だけど


 滴だけは思い出残して

 
 思い出だけ残してゆく……


 

 自分ながら輝いてる朝はひどく憂鬱で


 なにか かくさなきゃいけない気がする


 いつかまた、踏んだ道筋のかたさ


 アスファルトに固められてしまった 大地の記憶


 (思い出)


 届かない 伝わらない でもアスファルト


 割ってのぞいた雑草の芽に 強さ感じて


 会えるときも 会えないときも


 思い出は久しく


 ゆめつむぐ日々が たくさんの集まりで


 今を押し流して行く



 肩抱いて 背をたたいて 今を歩こう


 野原だってすぐそこさ だけど


 だれかが過ごした場所は冷たく硬いビルに変わってしまった


 肩抱いて 背をたたいて瞬間をつかもう


 浜だってすぐそこさ けれど


 だれかと過ごしたあの場所は


 誰にも顧みられない土地になりはてていた

 
 
 嘆くことなんて ないさ

 
 僕らは受け入れてきた


 なんてことない 今日も明日も


 泣くようなことじゃないさ



 
 会えるときも 会えないときも


 思い出は久しく


 ゆめつむぐ日々が たくさんの集まりで


 今を、いまを押し流して行く