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「はるー、今日中に準備しといてねーっ?」
これは、入学式の3日前のこと。
「分かってるから」
朝っぱらから大声で話しかけくる母さん。
もう高校生になるんだし、いい加減“はる”っつうのも止めて欲しい。
もういちいち言うのも、めんどいけど…
「またあの町に帰れるなんてね♪」
なんて陽気に話しながら、段ボールに食器を詰めている。
明るく振る舞ってるけど、相当凹んでんだろーな。
俺達があの町を離れたのは、12年前。
父さんの転勤が理由だった。
単身赴任も考えてたけど、結局母さんがついていくことを決めた。
まだそん時は、仲がよかったしな。

