くす、と芦野くんは笑った。
その笑みがあまりにも冷たくて、私は少し身震いした。
「色々と、邪魔ばかりされてたからね。ずっと君とはお話しかったんだけど、あいつがいたせいで近寄れなかった。」
ギリ、っと私の手首を掴む芦野くんに力が込められた。
「昨日は簡単に出てこれないように体育館倉庫にしたけど、予想以上に早く来ちゃったしね。」
本当に、ムカつくよな。
と芦野くんは小さくこぼす。
その時の芦野くんの表情が、なんだか辛そうな、苦しそうな、そんな顔をしてて。
何か、私や葵の知らない重たいものを背負ってるんじゃないかって、そんな気がした。
「わ、私にこんなことしたって、葵は今日はいないんだからっ」
「いない方が好都合だね。自分の無力さを思い知ればいい。大切なものを壊される苦しみを、味わえばいい。」

