「やめ…!」
「安心しなよ。時間はたっぷりとある。ちょっとお喋りしようか?」
「話すことなんかない…っ!離して!」
芦野くんから逃れようと、力一杯暴れ、身をよじる。
しかし、芦野くんにきっちり掴まれた両腕はぴくりとも動かなかった。
「昨日のことだよ。聞きたくない?森崎のことだ、どうせ言ってないんじゃないの?」
その言葉を聞いた途端、ピタリと動きを止めて芦野くんを見上げた。
「お、動揺してるね。素直な子は嫌いじゃないよ。」
「…葵に、何をしたの。」
キッと視線を上げ、芦野くんと睨み合う。
「ちょっと、昔のことを思い出してもらったんだよ。」
昔のことって、もしかして…。
「まさか…」
「そのことは聞いてたんだね。まぁ、ちょっと動けなくなってもらったんだ。あの時みたいにね。」

