俺様彼氏と空手彼女2




「まぁ、ざっとこんな話だ。」



葵は、平然とそんな話をした。



まさか、そんな過去があったなんてちっとも知らなくて。



じゃあ、葵が変わってしまった元凶は芦野くんということになる。




信じていた芦野くんに裏切られ、葵はどれぼど悲しかったことだろう。




私には、想像も出来なかった。






「…ばーか。」




「なっ!」




突然葵がそんなことを言うから、顔をあげてキッと葵を睨み付けたその時。




ふわっと私の頬に添えられた優しい手。




あまりの突然さに驚いていると、葵は優しい目と声で静かに笑った。




「俺の為なんかで、お前が泣くことねーよ。」



え…っ。




そう言って、私の頬に添えた手の親指でぐいっと私の目元を拭う葵。




意味がわからなくて自分でも目に触れてみる。



指には、透明な雫が付いていた。




「あれ…、私、泣いてた…。」



「は?気付いてなかったのかよ」



「うん。」






「…ぷっ。」







それから葵は、吹っ切れたみたいに大笑いし始めた。