俺様彼氏と空手彼女2





「ぜってぇ今日は帰る。お前を一人で帰せるか」



「いいよ、葵忙しいでしょ?」



「あんなもん俺がいなくても南沢がやってくれる」



南沢(みなみざわ)くんとは、副会長さんのことだ。



同じ学年で、しっかり者らしい。



「だからって、南沢くんが可哀相だよ」



「南沢だけじゃなくても、英田(あいだ)や瑞代(みずしろ)もいる」



どんどん名前が出てくるけど、顔と名前と役職が一致しない。



「それに、もう仕事も片付き始めてる。そんなに人手は必要ねぇんだよ」



…一番必要な人手は葵だとおもう。



私は、思わずため息をつきそうになった。



そう。


葵はいつの間にか、すっかり甘々になってしまったのだ。


甘々…、でいいのかな?


うまく説明できないけど、それだけ変わったってこと。


正直、悪い気はしないけどね。



最初のムカつく最低男はどこへ行ったのやら。



今はすっかり影をひそめ、男女関係なく同級生や後輩からも信頼が厚い。



やっぱり葵は、何をしても様になるよね…。