俺様彼氏と空手彼女2





「なぁ、どこまで行くんだよ。もうすぐ試合が始まるぞ?」



「そのことなら君は心配しなくていいよ。」




「あ?なんでだよ。」




「さぁ、なんでだろうね。」



くすっ、と芦野は笑った。


まるでバカにされたみたいな感じがして、俺は思わず芦野に詰め寄った。



「なぁ、どういう意味だよ!」



「まぁ、こういうことだよ。」



ピタリ、と芦野の動きが止まった。



気が付けば、廊下の突き当たりまで来ていたようだ。



「ここかよ。それで、どういう話?」



「…そうだな。簡単なことだよ。」




「えっ…」




くるり、と踵を返した芦野の表情はまるで氷のように冷たくて、思わず悪寒が走った。



こいつのこんな顔は、一度だって見たことはなかった。



「森崎。お前には、“俺”の踏み台になってもらうよ」



“俺”…?


今こいつ、俺って言ったか?



しかも、口調だけじゃなく雰囲気も全然いつもと違う。



「あ、芦野…踏み台って…」



俺は混乱する頭で、ようやくそれだけを口に出来た。