俺様彼氏と空手彼女2




「言ったな。これでも、相当練習したんだぜ。」




「だろうね。」




芦野は、ふっと笑った。



その笑顔が、なんだかいつもと違うような気がしてならなかった。




「ねぇ森崎。ちょっと話があるんだけど。」




「え?何だよ。」




「いいから、着いて来て」



芦野にそう言われ、深く考えずに着いて行った。



しかし芦野は、体育館を出て、建物の玄関を通りすぎ、薄暗くて誰もいない外れの廊下を進んでいく。




とうとう不安になった俺は、若干焦った声音で芦野に尋ねた。



「おい、どこ行くんだよ。」



「来ればわかる。」



俺の前を静かに歩く芦野は、振り返ることなく淡々と歩みを進めている。



しかし、ここは明らかに立ち入り禁止区域だ。



灯りもついてない廊下の所々には重々しい鉄製のドアがあって、そのせいでこの空気の重さをより一層際立たせている。




見た感じ空き部屋であろうそこは、きっとスポーツをする際の道具などをしまうのに使われているのだろう。



それに、もうすぐ試合が始まる時間だ。



俺はもう一度芦野に声をかけた。