そして、次の週。
中学校生活最後の、空手の大会がやってきた。
どこの中学でも、三年生は最後だからと気合いが入っていた。
もちろん、俺も。
勝つ気満々だった。
「あ、森崎。気合い入ってるね。」
そんな声に気付き、振り返れば芦野がにっこりと微笑みを浮かべて手を振りながらこちらにやってくるところだった。
「おー、おはよう。」
「トーナメント表、見た?」
「ああ、見た見た。」
「上手く行けば、森崎とは決勝で試合することになるかもね」
「だな。」
芦野と決勝で試合出来るかもしれない。
その最高のシチュエーションを想像し、嬉しさで体が熱くなった。
芦野と、本気で試合出来る。
俺は、更に体に気合いを入れて芦野を見つめた。
「絶対負けないからな。決勝で待ってろ。」
「…そうか。」
その時、芦野はうつむいていて表情は見えなかった。
だが、俺は緊張しているのだろうと、深く考えなかった。
「じゃあ、あとでなっ」
俺は、芦野を一人置いて顧問の元へと走るのだった。

