俺が璃依と出会った中二のあの日から俺は空手の道場に通い、中学では空手部に入った。
師範には、とても初心者とは思えないほどメキメキ上達したなと誉められる程だった。
俺自身、璃依の言葉を信じ、ひたすら毎日毎日武術に身を入れた。
それから半年、俺が中三の5月のことだった。
その頃身長は一気に伸び、空手の階級は既に3級の茶帯。
初段なんて、すぐ取れるだろうと師範は言った。
俺はこれまで以上に武術に力を入れて体を鍛えていた。
そんな時だったんだ。
あいつが俺の前に現われたのは。
これは、師範と道場に通う全員がゴールデンウィークを利用して合宿に来たときのことだ。
「こんにちは。森崎くん、だったっけ?」
「そうだけど。あんたは?」
道場での休憩時間。
休んでいた俺の前に現われたのは、何度か見かけたことはあっても名前も知らない男。
そいつは、にっこりと人懐っこい笑顔をたたえ、優しい声で俺に話しかけた。
「僕は芦野悠。いつも君を見かけてたから、思い切って話しかけてみたんだ」

