「どうしたの?」
「いや、いいんだ。期待した俺がバカだったよ」
「ん?」
葵が元気を無くす理由が今一つわからなかったけど、具合が悪い、ということで片付けておく。
反対側に、ひっそりと置かれている小さな冷蔵庫。
だいたいそこに熱冷まシートはある。
がこんっという音をたて、重々しい扉を開けると足元を冷気が流れていったのがわかった。
ゆっくりと目的のものを探すと、呆気なくそれは見つかった。
一枚を取出し、冷蔵庫の横に置かれた救急箱も同時に持つ。
確か、怪我してたよね。
口の横を切り、手の甲には痛々しげに血がにじんでいた。
私の、所為で…。
ぐっ、と奥歯を噛みしめ、くるりと葵の方へ振り返る。
「葵、熱冷まシー…」
「――――…聞かねぇのかよ」
私の言葉を遮り、重い声で葵は言った。
私が何を聞くべきなのか、それはわかる。
だけど、私の知らない部分の葵の過去。
聞いていいのか悪いのか、わからなかった。
「…聞いても、いいの?」

