「あお…い…」
「昔のまんまだね、森崎。少しは強くなったかと期待してたけど、相変わらず弱すぎる」
「うるせぇよ、てめぇだって大したことねぇだろ!その優男ぶった化けの皮、ひっぺ剥がしてやっから首洗って待ってろ!」
ぐっ、と私の肩を引き寄せ芦野くんを一睨みして葵はゆっくりそこを離れた。
そうして、廊下を少し進んだときだった。
「げほっ!げほげほっごほっ…」
「葵!?」
突如、葵が激しく咳き込んで苦しそうに膝をつき、私は慌てて背中をさする。
「……くっ、そ…!」
苦しみながら、かすかに吐き出すように言ったその言葉は、悔しさに溢れていた。
固く握り締められた拳で床を殴り付け、はぁはぁと肩で息をしながらようやく立ち上がる。
「葵…、だいじょ…っぶ!?」
恐る恐る声をかけたとき。
突然、ぐいっと腕を引かれバランスを崩す。
気付いたときには、身体全体を葵の体温で優しく包み込まれていた。

